丸亀製麺に勝ちたい
こんばんは。
突然ですがみなさん、食事について勝ち負けを決めることはありますでしょうか。
大抵の方は「こいつは一体何と戦っているんだ」って言いたくなるところでしょう。しかしながら、少なくとも私の中では、食事というものには勝ち負けが存在します。この勝ち負けというのは、主に自分自身の満足度です。早い話が、食事に満足できていれば勝ち、満足できていない、あるいは、その内容について後悔が残れば負けです。
当然ですが、私は食事に対して勝ちたいです。*1食事に対して勝ちたいならば、当然満足できるようなものを選んで食べれば良いのです。しかし、毎度毎度食事に勝てるわけもなく……。きょうはそんなお話です。
ここは自分のなかで食事をする上でかなり勝ちづらい場所です。
丸亀製麺について知らない人がいるとも思えませんが、ここで注文の方法について少しおさらいしておきましょう。丸亀製麺の公式ホームページから引用すると、注文は以下の手順で行われます。
- うどんを注文(このタイミングで天丼用のご飯も同時に注文可能)
- うどん(ごはん)を受け取る
- 天ぷら、おむすびなどを取る
- お会計
さて、私は丸亀製麺に勝ちたいです。しかし、どうすればいいでしょうか。
普通に考えれば、好きなようにうどんを頼んで、好きなように天ぷらをたのんで、それで会計すればよいように思えます。
その通り、それが自分の満足が行くように、後悔が残らないようにできるのであれば、それで良いのです。
しかしここで、丸亀製麺(というよりこの手のうどん屋全般)の注文方式が牙を剥いてきます。
詳細について説明する前に、比較のためにファミレスの注文について考えてみます。普通のファミレスの場合、たくさんの料理が載っているメニューの中から好きな一品を選んで注文します。それで、出てきた食事食べて、勝っただの負けただの考えるわけです。
ここで重要なのは、基本的にメニューを選択をする回数が一回であるということです。選択が一回ということは、後悔するタイミングが多く数えても一回で済むということを意味しています。どんなに負けても、「あの時別のメニューを頼んでおけば」で済むのです。
しかし丸亀製麺の注文は、うどんの種類にプラスして天ぷらの組み合わせ、そこにプラスしてご飯との組み合わせまで考える事ができます。一見この自由度の高さはとても魅力的に思えますが、これは食事に対する勝利を考えるうえで非常に厄介です。
つまり、メニューの自由度の高さ、すなわち選択回数の多さが、結果として後悔する要素、回数を多くしているのです。そもそもうどんはこれで良かったのか、天ぷらは本当にこれでよかったのか、天かすは乗せすぎたのではないか、ちょっと出汁を追加しておけばよかったのではないか、いざ考えただけでも無数の後悔が生まれてきます。丸亀製麺、まさに魔窟としか言いようがありません。
ちなみにこの自由度が高ければ高いほど後悔しやすい(つまり食事に負けやすい)かというと、実はそうでもありません。たとえばバイキングなどの場合、逆に好きなタイミングで食べるものを決めることができるため、軌道修正がいくらでもでき、これはこれでかなり面白い勝負をすることが出来ます。それについては、みなさんもご想像できる部分かと思うので、今回は割愛させていただきます。
どうでしょうか。丸亀製麺、急に勝ちづらい感じがしてきませんか。なんか、凄いバカバカしいんだけど、でもこれ本気で勝とうとすると、凄い難しい感じがしませんか。私はします。超難しいです。丸亀製麺、マジで強敵すぎます。
そしてこの部分に私は、言いようもない興奮と感動を覚えているのです。初見のゲームでよく分からないボスと遭遇して、何回か戦って、これどうやって倒せばいいんだろうって頭を抱える感覚は、私の中では丸亀製麺で注文している感覚と全く同じなのです。
そんなわけで今日は丸亀製麺に勝負しに行ってきました。
今日こそは勝ちたい。そろそろ白黒はっきりつけようじゃないか。
そう思い列に並び、頭上のメニューに目を向けます。
メニューには相変わらずひとを惑わすうどんが並んでおります。相変わらず、たかだか炭水化物を麺状にしただけなのに、たくさんの食い方があってどれを選べばいいか迷います。
しかしながら、ダラダラと考えている時間はありません。後ろにお客さんが並んでいますし、さすがに店員さんがなんともいえない顔になり始めています。
この時点でもう負けてる感じがしていました。早すぎます。このあとに天ぷらもトッピングも選ばなければいけないのに。野球で言うところの初回で5点取られている気分です。既に試合が決まるなんて。いくらなんでも虚しすぎやしませんか。
しかしここで私は思いついたのです。
「もう面倒だし、期間限定メニュー食ってみた方が実はおいしかったりするのでは?」
ここで説明すると、丸亀製麺には期間限定メニューというものがあり、これは天ぷらやトッピングがすでに決まっているメニューです。当然ここに何かを追加する事もできます。
しかもこのボリューム満点の画像。これだ。これでいいんじゃないか。実は敵は既に弱点を露出していただけなんじゃないのか。
逆にメニューを選ばないという勇気。それが丸亀製麺に対して勝つメソッドなのではないか。選択のリスクを敵側に転嫁するという、まさしく逆転の発想が私の中に閃いたのでした。
「タル鶏天ぶっかけを並で」
しっかりと私は注文します。どうだ、参ったか、このうどん野郎。
そしてここではてブのホッテントリにあった記事を思い出します。
聞いたことはありましたが、いざ写真でこう見せられると、無性にこのジャンクな感じを食べたくなりまして、追加でご飯を注文。
そしてここで思いもよらない追い風が吹いてきます。なんとこの鶏天、どうやらちょうど揚がっていなかったようなのです。これはつまり、私の注文に合わせて鶏天が揚げたての状態で出てくることを意味しています。
敵に塩ではなく揚げたてを送るとは、いや、ほんとありがとうございます。
会計して数分後、やさしそうなおばさんが熱々の鶏天が乗ったうどんを持って席まで来てくれました。にこやかな笑顔で「揚げたてですから、やけどしないように気をつけてくださいね」なんて。ありがとうおばさん。
しかし、接客は食事の勝敗とは一切関係がありません。私が眼の前のタル鶏天ぶっかけうどんとうどんダシ茶漬けを食べて一体どう考え、どう感じるかに全てがかかっているのです。
しかしいざ目の前に出てくると、鶏天のボリュームが凄い。先ほど引用した写真では片側に鶏天が寄ってるんですけど、出てきた鶏天はもううどんが見えないほどにゴロゴロと転がっています。この見た目、まさしく金塊がごとく。
さっそく鶏天を口いっぱいに入れてひとかじり。歯先がタルタルを纏った衣と鳥のもも肉に触れるのが分かります。
ここで驚いたのが肉の柔らかさ。想像以上にやわらかい。普通のチェーン店で出てくるものとしてはだいぶレベルが高い方なんじゃないでしょうか。そしてその後に衣から香る油の香り、そしてその後にガツンと来るタルタル。そして更に、衣に含まれていたゆずの香りがふわっと鼻を通り抜けます。
美味い。これは想像していたより美味い。油でギトギトで殴りかかってくるような味なのかと思えば、そういった一面も見せつつ柚子の香りでさっぱりした一面も見せてきて、何だこのツンデレは。ギャップ萌えなんてレベルじゃないぞこいつ。
そしてうどんをひとすすり。うん、知ってる味。こちらはチェーン店らしい、それなりのうどんダシの味です。しかしまぁ、さっきの鶏天の油を流してくれる感じがして、これはこれで悪くない。
追加で注文したうどんダシ茶漬けも、思っていたような味ではあるものの、及第点近くまで来ている味でした。さっぱりと食べれて、これまた口の中をリセットしてくれるいい味です。そして何より、お値段のわりに量が多いし、ガッツリ食べている感じがして、バカ食い学生にはかなりいい感じ。
ここで残っていた鶏天をうどんダシにガッツリ浸してまたかじります。先ほどとは違う、うどんダシを吸って少しふやけた衣とタルタルの組み合わせがまた面白い。
そしてうどんを半分、鶏天も半分まで食べたところで、わざと取っておいたレモンを絞ってまたかじってすすります。今までよりも更にさっぱり食べれて、ゆずの香りが更に引き立つ感じがしてこれまた美味。これは最後まで飽きずに食べれる。美味い。
最後に、タルタルとうどんダシが混じって、なんだかよく分からない飲み物になっているものを、それでも飲み干し、はふぅ……と一息。気分は完全にラーメン大好き小泉さん。口の中の幸せがまだ残っている気がしつつ店外へ。
結果からいうと、これは勝ちです。私は生まれてはじめて、丸亀製麺というにくき相手に勝利することが出来ました。
今回の一品、チェーン店のわりには本当に美味いと思いました。想像以上です。ガッツリとあっさりが両立出来ているなんて考えてもいませんでしたし、やはり鶏天の柔らかさがとても印象に残っています。いい、とてもいい食事でした。
しかしながら、完全勝利というわけでもないのもまた事実ではあります。結局のところ今回の勝利は、相手側にメニューの選択権を転嫁するという、ずる賢い方法での勝利でした。食事中はかなりいい気分だったのも事実でしたが、今振り返ると、これは自分で勝ち取った勝利ではないことは明白です。
このままではいられません。食事には勝ちましたが、自分に負けています。妥協して勝ち得たものがそれほど良いものとも思えません。いつかまた、丸亀製麺に向かい、自分自身と再戦するときが来るでしょう。その日がいつかは分かりませんが、また楽しい勝負ができることを、私は楽しみにしています。
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次回はアニメの話を書くと思います。よろしくお願いします。
*1:この1文、最高に頭が悪い感じがする